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2016年03月08日

居住用賃貸のトラブルにおける対応

居住用賃貸の媒介を行う不動産会社においては契約の当事者が死亡したり、賃料の滞納や夜逃げなどが発生し、対応に苦慮することが多い。こうした事態に対処するために法的な考え方を確認しておきたい。

 

1 貸主が死亡した場合複数の相続人がいるがこうした時にもオーナーである立場を相続した相続人は賃貸借契約をそのまま引き継ぐのか?

 

解答    そのまま引き継ぐ

      

賃貸物件において貸主であるオーナーが死亡し相続が発生すれば、遺言書などがない場合、遺産分割協議がまとまるまでの間は相続人全員による共同相続ということになる。

唯注意点としては死亡したオーナー名義のまま登記をそのままにしておけばこの物件を売買することもできくなるだけでなく更なる2次的相続がおき、きずいてみたら相続人の数が膨大となり遺産分割協議がまとまらない、相続人がいろんな場所にいるため開けないといったことにも繋がる。

だからこそ2次的相続が起こる前に速いうちに遺産分割協議書をまとめこの物件を誰の所有にするか?等をまとめておいた方がいいね

 

法律上はオーナーが死亡し遺産分割協議がまとまるまでの間はこの物件の所有者を相続人全員の共有として扱う。無論相続人全員が賃貸借契約を引き継いだ貸主ということになる。

しかしだからと言ってすぐに賃貸借契約書を書き換えるのではなく遺産分割協議が終了し新たな貸主が決まってから賃貸借契約書を書き換えても法的に何ら問題は無い。ただ毎月の賃料が入る受け皿だけは設けておいた方がいいので遺産分割協議がまとまるまでは暫定的な措置としてこの共同相続人の中から代表者を決めその1次的代表者に口座を開設してもらうなり、従来この人が持っている口座にそのまま振り込んでもらうことで大丈夫であろう。しかし借主である賃借人には相続があったということだけは相続人全員の名前で通知しておく必要がある。

 

2 賃借人が死亡した場合はどう扱うのか?

 

また今回の事案とは逆に賃借人が死亡した場合も賃貸借契約は相続の対象となり相続放棄をしない限り、賃借人が滞納した賃料の支払い、原状回復義務は相続人が行うことになる。貸主が死亡し賃貸借契約を相続人が解消したい場合にも死亡した借主が結んでいた契約がそのまま引き継がれ解約手数料として家賃の1ヶ月分、事前通知1ヶ月前が適用されるよね。

まとめると借主が死亡した場合も借家権は相続の対象になり、同居の家族がそのまま居住を継続することが多いので、その家族の中から最も借主に相応しい資力ある人を賃借人に切り替えてもらえばいい。また少し応用になるが賃貸借契約に下ずく賃料債務は不可分債務となり(賃借権を相続した人は皆で支払いをしなければならないが貸主から借りてる部分を自分はトイレの部分、居間の部分等、切り離して考えることができないので不可分債務となる)この資力ある賃借人が借家権を相続したにも係わらず賃料を支払わない場合には他の相続人に対してもその賃料全額分の請求をすることも可能である。まあ借家権の相続の場合も速めに上記の対応を取り遺産分割協議を進めてもらうよう要請すれば良いと考える。

 

 

3 賃料はどれくらい滞納したら賃貸借契約を解除できるのか?

 

また補足ではあるが賃料の滞納は滞納の結果貸主であるオーナーとの信頼関係が破壊されたと判断されるまでは、いくら契約書に1月でも滞納したら賃貸借契約を解除できるという条項が盛り込まれていても契約の解除は認めないとするのが判例の立場である。

まあ信頼関係が壊れるほどの賃料の滞納とは3ヶ月分の滞納が一つの目安になっているようである。



4 夜逃げ等の残置物の処理についてはどう対応したらいいか?

 

まずは賃貸借契約を解除しなければならない、そしてその後の残置物の処理については仮に契約書の条項に借主が自由に処分しても良いという定があってもその規定に基ずき現実的に行うことは民法の自力救済禁止の原則に触れ不法行為とみなされ損害賠償の問題が生じるので気をつけてね

従ってこうした場合の手続きとしては連帯保証人が残置物を連帯保証人が引き取る旨が定められている場合には保証人に連絡し引き取ってもらい、連帯保証人が建てられていない場合には賃借人も行方不明であるので公示手続きにより契約を解除し、裁判所に物件の明け渡しを求めることになる。またその中で賃料不払いの先取特権を行使した残置物の差し押さえ、競売手続きを取ることになる。まあ残置物は競売でも買い手がつかないため何の役にも立たないが、まあ自分で買い取る必要性も出てくるかもね、だからこそやはりこうした猥雑な手続きを踏みたくないのであれば連帯保証人は必ず立てといた方がいいですね。

 

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Posted by 琉球学院  at 13:01│Comments(0)
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